メンタルヘルスの重要性が叫ばれて久しい現代において、高齢者のメンタルケアが注目されています。
高齢者の多くが、定年退職後による社会的役割の喪失・配偶者や兄弟との死別・病気による施設への入所など、それまでの人生で経験したことのない強いストレスにさらされます。
介護が必要な状況になれば家族への負担を思うあまり、激しい気分の落ち込みに見舞われることもあります。
また、身体能力の低下により、それまでできていたことが制限されることで、焦燥感を募らせることも珍しくありません。
自身の体力の衰えを認めることは誰しもつらいことです。
衣服の着脱がスムーズにできなくなったことでさえ、気分の落ち込みの原因になります。
こうした状況が長く続くとうつ病といった精神疾患に罹患するリスクが高まります。
もし、高齢者が気分的に落ち込んでいるようなら、まず本人の話に耳を傾けましょう。
その際、励ましたり、理論的な話で説き伏せるのはかえって状況を悪くします。
とにかく「傾聴する」という態度を取り、相手の気持ちに寄り添い共感することが大切です。
共感は円滑なコミュニケーションのポイントであり、相手のストレス軽減にも繋がります。
メンタルの不調が顕在化する前に、こうした状況を生まないような予防策も重要です。
人は何か生きるための目標や仲間がいると、前向きに活動するようになります。
そのため、習い事やサークル活動に参加させたりと、コミュニティへの参加を促して、人とのつながりを持ってもらうことが重要です。
人との関わりがあれば、身だしなみに気を遣うようになり、健康維持にも目を向けるようになるでしょう。